2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

紋切り型からの脱出

自分の心身にぴったりと合った職を持たず、創造的な人間でありたいと願いながらもどこか自分を紋切り型ではないかと恐れている、そんな人物が阿部和重の小説にはよく出てくる。私のようなブロガーもまさにそんな一人なのだが。そんな自分に自信のない人間に…

アイロニックな小説 〜ニッポニアニッポン〜

道の上で干からびかけて瀕死のミミズたちに哀愁を感じるこの季節、みなさまはいかがおすごしでしょうか。さて、『グランド・フィナーレ』にひきつづき、阿部和重『ニッポニアニッポン』読みました。今回はちょっと趣向を変えて、29日の朝日新聞に載った斉藤…

「おまえはまだまだダメ」って言われちまって……

窓をあけっぱなしにして寝たら朝の四時すぎに鳥たちの暴力的なさえずりで目を覚まされてしまう今日このごろ、みなさまはいかがおすごしでしょうか。さいきん書道にハマっている。『すらすら筆ペン練習帳』をひととおりやってから、石川九楊先生の『書道入門…

阿部和重『グランド・フィナーレ』

[阿部和重の『グランド・フィナーレ』読みました。すごくうまい。阿部和重は人に勧められて最初に読んだ『インディヴィジュアル・プロジェクション』がピンとこなくて内心あなどっていたんだけど、『シンセミア』で大いに反省した。今回の本は芥川賞受賞作。…

電車の中で人を観察、そして、ゲシュタルト崩壊

電車の中で人の仕草を見るのが好きだ。特に完全に眠りこけているときと、人と会話しているときが狙い目。眠ってるときは言わずもがな、会話しているときも、相手との何層ものレベルにおける情報の交換に精一杯で周囲の人間にまで気が回らないから。目を閉じ…

夏は新宿御苑でクールビズでしょう

今日は新宿御苑に行ってきました。 新宿駅の南口から東へ。大塚家具の先の交差点を渡ってしばらく行くと新宿門があります。 そこから日本庭園の方へ。あじさいがまだ咲いてました。 ところによってはかなり鬱蒼とした森になってます。 日本庭園へ向かう道筋…

即断即決!ロボコップよりも逡巡しない男 〜捜索者〜

1956年製作、ジョン・フォード監督の『捜索者』みました。1868年。南北戦争の余塵さめやらぬテキサスで、「アメリカ連合国」の兵隊だったイーサンは弟一家が暮らす家に帰ってくる。ところが罠にはまって家を出ている隙にコマンチに弟一家を殺され、下の娘の…

こわい話 〜ベイトソン『精神の生態学』〜

グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学』より。 P夫妻は結婚して十八年ほどになるが、十六歳の息子は破瓜病の傾向があった。結婚生活は平穏とは言い難く、常に互いの敵意がむき出しになる状態である。しかし妻は庭いじりが大好きで、ある日曜の昼下がり、夫…