「おまえはまだまだダメ」って言われちまって……

窓をあけっぱなしにして寝たら朝の四時すぎに鳥たちの暴力的なさえずりで目を覚まされてしまう今日このごろ、みなさまはいかがおすごしでしょうか。

さいきん書道にハマっている。『すらすら筆ペン練習帳』をひととおりやってから、石川九楊先生の『書道入門』を買ってきた。『すらすら』ではもちろん筆ペンの使用が前提で、ペンテルのカートリッジを交換できるタイプのやつを使ってた。『書道入門』の方でも筆ペンで通そうと思ったら、冒頭から石川先生の厳しいお言葉:

墨をするのが面倒だとか、時間がないという人は、書をやめたほうがよいでしょう。なぜなら、墨をすりながら書の構想を練ることとは別に、墨と硯面の接触感覚を味わうことがすはわち筆と紙の接触感覚を研ぎ澄ませることにもなるからで、書には欠かせないウォーミングアップだからです。

(……墨を)する時間の目安としては三十分以上です。少し長いと思われるかもしれませんが、驚かないでください。書にはゆったりした時間が必要なのです。墨をするのがめんどうくさいと思っている間は、書はまだまだだめだと考えてまちがいありません。

先生、あんまりだ……

本式にやるのは、私のように人に隠れるようにしてコソコソっとやるにはとても敷居が高いなあ。それにまあ私の場合「書」などと言える段階でもないし……などと自分に言い訳しながら、石川先生が何と言おうとやはり筆ペンで通すことにしました。

始めてみると、本式の筆と一枚十数円の和紙を使うときっと書き心地が雲泥の差なんだろうなあとは思いながら、あたりまえだが別に筆ペンじゃ書けないってわけじゃない。でも変なクセがつくかもしれないので人にはおすすめしません。

しかし石川先生のこの本は、解説がとにかく実践的、具体的でわかりやすく、筆ペンでやってても十分楽しいしタメになってます。

たとえば、基本的なところで筆の持ち方がある。私はどうも小学校の習字のときには筆をつまむようにして持っていた気がするのだけど、単鉤法という筆の持ち方の場合、親指の先が水平またはやや上方を向くようにするんだそうです。確かにこの通りにすると、字があきらかに違ってくる。

あと、探しても見つからないので石川先生の別の本だったかもしれないんですが、「塗るんじゃなくて刻み込むように書く」というのがあります。私はこの言葉には妙に納得させられた。上の筆の持ち方と合わせて実践すると、とてもいい感じです。具体的には、筆を寝かせずに立てて書くということと、筆を紙に押しつけることを恐れないということだと思うのですが。

ところで、この「塗るんじゃなくて刻み込むように」という金言は比喩としてもいろいろ応用できるのではなかろうか。「塗るんじゃなくて刻み込むように生きろ!」とか、「塗るんじゃなくて刻み込むように歌え!」とか。どんな行為や動作と組み合わせても、どこか意味ありげに聞こえるのが不思議。


P.S.
なつかしのGoogle遊び 〜ヒット一件を目指せ!〜
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