それでも妹は気楽に生きていく 〜天国の日々〜

テレンス・マリック監督の『天国の日々』(1978年)観ました。よかった。

あらすじ

1916年。ビリー(リチャード・ギア)とその妹リンダ、ビリーの恋人アビー(ブルック・アダムス)は三人で暮らしている。ビリーはシカゴの工場で働くが、監督の男と喧嘩してクビになる。三人は列車の屋根に乗ってテキサスまで行き、麦の刈り入れの仕事に着く。アビーもビリーの妹ということにしている。
農場のオーナーは若い男で、他に家族もなく一人で家に住んでいる。農場主は病気にかかっていて、医者が彼に「あと一年しか生きられない」と言うのをビリーは立ち聞きする。
若い農場主がアビーにほれる。ビリーはアビーに農場主との結婚を暗に勧める。結婚式がおこなわれ、三人は底辺の労働者から毎日を遊んで暮らす身分となる。
やがて農場主はビリーとアビーの関係を疑い始める。はじめのうちはごまかしていたが、やがてばれる。麦が実り、刈り入れのための労働者が雇い入れられ、これから刈り入れようというときに畑はイナゴの大群に襲われる。農場主はアビーのこともあって畑に火をつける。翌日、バイクを修理していたビリーを農場主は銃で撃ち殺そうとするが弾が出ない。ビリーは逆に農場主の胸に持っていたドライバーを突き刺して殺してしまう。
三人は車で農場を去る。川まで行ってアビーの宝石で船を買い、川をさかのぼる。しかし警官隊に発見され、ビリーは川の中で撃ち殺される。
アビーはリンダを寄宿学校(?)に預け、列車に乗って去る。リンダは夜中に学校を脱け出し、むかし農場で一緒に働いたことのある女の子と意気投合して二人で線路沿いにぶらぶらと旅に出る。


純粋さと山っけの入り混じったようなビリーを演じる若いリチャード・ギアがはまり役。農場、波立つ黄金色の麦畑、それをとりまく豊かな自然とそこで働く人々、蒸気で動く巨大な刈り入れ機まで、すべてが調和していて美しい世界がつかのま現れて、そしてすぐに失われてしまう。『ニュー・ワールド』と同じ「失われた調和」というテーマ。