あと一歩でホラーから逸脱しそうなホラー映画 〜LOFT〜

黒沢清監督の『LOFT』みました。

こちらで予期する展開や映画表現の手法を不意に逸脱する部分がいくつかあって、それが面白かった。例えば、

  • 中谷美紀豊川悦司が二人で土を掘り返して、結局何も出なかったあとの不自然な流れ。いきなり抱き合って、わざとらしく甘いBGMが流れる場面
  • 豊川悦司の顔を照らす稲妻と雷鳴のマニエリズム
  • 明らかにスタジオ撮影と分かる車の中のシーン。まるでヒッチコックなどの昔の映画みたい。人の後ろを流れる合成された森の緑の背景がわざとらしい

豊川悦司による芝居がかった科白、夜、雨、雷などがマンディアルグコクトーの映画を思わせた。

映画の最後に近づくにつれて中谷美紀がますます落ち着いていくのがちょっと可笑しかった。