正座して観賞するSFアクション 〜イーオン・フラックス〜

シャーリーズ・セロン主演『イーオン・フラックス』みました。

シャーリーズ・セロン、相変わらずがんばってます。この映画で彼女が演じる役はたしかにセクシーな女戦士なんですが、どこか、みているこちらが思わず居住まいを正してしまうようなセクシーさ&アクションなんですね。『モンスター』の次に出演した映画がこれというのも驚きですが、でもなんだか分かるような気もします。どちらの映画でも全力投球、女優という職業に向かい合うその姿勢はあくまでも真面目。来日したときの舞台挨拶によると、彼女は撮影一週間目にバク転をしたとき首の骨がずれて入院し、七週間撮影が中断したらしいです。まさに命がけ。

だからといっては何ですが、バカになってビール片手に楽しむようなSFアクション映画にしては、妙に重い、というか、美しすぎる、猥雑さの足りない感じの仕上がりとなってます。彼女の中にある「厳しさ」みたいなものがこちらにまで伝わってきてしまうんですね。バカ映画にはちょっと合わない女優さんなのかもしれません。『モンスター』ではあの物語の深刻さに彼女がぴったり合っていてよかった。この映画について言えばミラ・ヨヴォヴィッチあたりが適役だったのかも。

シャーリーズ・セロンの経歴(ウィキペディアより)
彼女は南アフリカ出身。道路建設会社を経営していた父親はアルコール依存症だった。彼女が十五歳のときに父親に暴力をふるわれ、娘の命の危険を感じた母親が父親を射殺した。母親は正当防衛を認められた。


さて、映画に話を戻すと、一つだけ気になったのはこのブレーニャとかいう都市を取り囲む壁のことです。映画をみているだけだとこの壁ってべつに必然性はなくて、なくってもいい感じですね。ところで私はこの「壁」で、安部公房『鉛の卵』というSF小説を思い出しました。タイムカプセルで冷凍保存されて過去からやってきた主人公が解凍されて目を覚ますと、動く植物のような生物による文明が栄えている。ところが、その街がどうも細長くて壁に取り囲まれているんです。実は壁の外には普通の人類が住んでいて、こちら側はが緑色人を保存するための「古代博物館」だったというオチでした。このオチをこの映画に応用できないかと考えたんですが、実はブレーニャは人類の遺伝子バンクだった、というのも、だから何?っていう感じでダメっぽい。

あるいはこういうのはどうでしょう。妊娠できなくなった人類の中に、一人だけ妊娠可能な女性がタイムマシンにのって(あるいはタイムカプセルの中から)やってくる。ちょっとセクシーな展開が期待できていいかも。主演女優は『バーバレラ』ジェーン・フォンダ希望。